高知県とウサギとわたし

~ペットホスピスをつくります~

■会いたい人には会いたいときに会っておかないと、会えなくなる。けれど、

 
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ねぇ、なえさん。今日は、わたしのこと、わかってて呼んだのですか?

 

■今日は高知県移住前日。60歳離れたわたしの大事な友人、なえさんに会う日

高知県に行く話を、なえさんにしておかないとと思った。昨年5月になえさんと会ったとき、なえさんはちょっと気持ちが落ちこんでいた。お正月に入院してから、身体ががくっと弱ってしまったそうだ。わたしのことをみて、

「いいなぁ。まだ生きられる。僕も東京オリンピックまで生きたいんだ」

と、それでも前向きに、キラキラとした目で語っていた。91歳にして、車も運転できた、すごいおじいちゃん。わたしは、彼を尊敬をしている。


でも、高知県に移住をすると、簡単には会えなくなる。6月21日、なえさんに連絡をして、23日に連絡が来た。なんと、今入院中で、7月4日に退院されるとのこと。

「間に合えば本当にお会いしたいです。」

わたしも会いたいので、直前だが、今日なら時間が取れると伝えると

「それでは7月6日に、拙宅でおあいしましよう。」

と返事が来た。退院したばかりだと、体力も落ちているだろうから、無理のない時間を選んでいただいた。それが、14時だった。

 

■「なえさん、こんにちは。本日14時にお伺いします。よろしくお願いします:)」

すぐに既読がついた。よかった。メールを読めるくらいには体調が落ち着いているのかな。

先日、鎌倉にいったときに買った、紫陽花の和菓子。入院していたら、紫陽花も見られていないかもしれない。世界中を飛び回り、旅行をし、美しいモノを愛していて、パワフルだったなえさん。紫陽花を持って行くことは難しいけれど、この紫陽花の和菓子なら、喜んでくださるかもしれない。

ひとつ予定を終わらせて、銀行のATMにはばまれながらも、なえさんに会えるのが、楽しみだった。

 

今度は、どんなお話ができるかな…!(*δωδ*)

 

■17歳のわたしと、77歳のなえさん

なえさんとの出会いは、今から15年前、わたしが高校3年生のとき、あるコンビニエンスストアにて。わたしはアルバイト店員、なえさんはお客さまだった。

1週間のある決まった曜日に、決まったむっとした顔で、お弁当をさっと出す。他のアルバイトさんは、なえさんのことが苦手そうにしていたけれど、わたしはその寡黙さの中のさりげない優しさを知っていた。

わたしは不器用なので、簡単なミスをけっこうする。それはなえさんの前でも同じだったが、じっと待ってくれていた。

わたしはその人のこまかなことを覚えているので、なえさんがお箸を使わないことを覚えていた。いつも何も言われなくても、お箸をいれなかった。

そういうことを続けていき、すこしずつ、すこしずつ会話が増え、なえさんが来店したときは、ふたりの時間が流れるようになった。

 

ある日、わたしはアルバイトを辞めることになった。なえさんに伝えると、悲しそうだった。だから、メールアドレスを伝えた。それから15年。1年に1回くらい、なえさんとわたしは1年に1度お食事をして、近況を語る仲になった。

なえさんは、博学で、頭が良く、お話しを聞いているだけでとても楽しかった。わたしがLGBTsであることは理解はできなくとも、なんとか気持ちに近づこうとしてくれた。それがわかるから、嬉しかった。

 

■14時、なえさん宅のインターフォンを鳴らした

「ここかな…?」

なえさん宅に到着した。初めて来たので、勝手が分からない。インターフォンを押した。

「…っはい?」

少し驚いた様子で玄関から顔を覗かせたの女性を見て、「あ、なえさんの娘さんの1人だ」と思った。

「あの、わたし、なえさんの友人で、今日お目にかかるお話だったのですが…」

「あ…、○○は…、6月2●日に、亡くなりました」

 

だめだ。今も、涙が止まらない。

そう言われたことの意味は、頭ですぐにわかったが、心が受け入れられない。

 

あの、既読になったメールはなんだったの?なえさん、わたしを呼んだ????

 

「中に入って、お線香をあげてくださる?」

 

呆然としてその場で涙を流すわたしを、娘さんは促してくださった。

 

中には、静かに微笑む、なえさんの遺影とお骨があった。

 

これ以上は、ちょっと、書けなくてごめんなさい。

 

 

会いたい人には会いに行けるから、いつでも会えると思っていたんだ|武田真優子/ペットヘルパー|note 

「あなたに会いたい」この気持ちは、実際に口にしなくても、ゆるやかでやわらなか風に乗り、突然目の前にその機会が訪れることを、わたしは知っている。実際に口にしたほうが、会いに行ける。

会いに行って、「どうしたいのか」「なにができるのか」が、重要だ。なぜなら、会いたいという相手に、大事な時間を割いていただくのだから。

でも、これらは、自分も相手も死なない、という幻想の上でのみ、成り立つのだ。今、それを、思い知っている。

 

会いたい人には会いたいときに会っておかないと、会えなくなる。けれど、

 

会えなくなっても、つながってゆくことを、今日知った。

その家族が。

その行動が。

その想いが。

その方がいなくなったとしても、強い想いは、他の人を介して伝わるのだ。

 

ねぇ、なえさん。今日会えてよかった。呼んでくれてありがとう。

 

わたしは、明日高知県へ移住します。足が悪くなって歩けなくなってしまった身体より、今のほうがよっぽど自由かもしれないね。いつでも遊びに来てよ。ゲストハウスから3分で四万十川なんだよ。目の前には予土線。すごい環境だよ!ウサギもいるから、よかったらもふもふしてあげて:)

 

(この記事はnoteから転載している、【高知県移住→ペットホスピスつくるマガジン】の期間限定無料記事です。毎月15記事以上更新です。有料記事は単発では100円〜で配信しています。

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