恐れずに言う。
わたしは、ビートルズを知らない。興味もなかった。曲も「聞いたことある」程度。
そのわたしが、無謀にも、ビートルズ関連の本を読んだ。
この本の著者である、ノンフィクション作家 小松成美が、「この本ができるなら死んでもいい」と、アストリット・キルヒヘアに直接、なんどもなんどもアポイトメントを取り、100時間以上ものインタビューをし、命を削りながら書いた、魂の本。初めての著作。
読み終えて、そのままの格好で、涙が出てきた。この涙は、感動でも、賞賛でも、憧憬でも、ない。
恐怖と、落胆である。
恐怖は「文字を紡いで伝え、相手に届ける」という、恐怖。
落胆は「いつか、小松成美さんにインタビューをしたい。でも、ここに命は懸けられない」と即時理解した、落胆。
わたしが命を懸けるべきところは、別にあるのだ。そのために移住をする。
美しくて、同時に鋭い痛みが走る、アストリットの写真集でもある、この本。ビートルズを知らないわたしもファンになった。
よろしければ。